技法 | 絹本、著色、墨、金泥、截金 |
額 | 軸装 |
サイズ | 79.0×33.4 cm |
本作の中尊である阿弥陀如来は来迎印を結び、両脇侍に蓮台を捧げ持つ観音菩薩、合掌する勢至菩薩を伴う「阿弥陀三尊来迎図」である。このような阿弥陀仏が、極楽への往生を願う人の臨終に際して、その人のもとへと来迎するさまを描いた図は、浄土信仰・阿弥陀信仰が盛んになった平安時代から描かれた。阿弥陀如来は西方彼方の極楽浄土で説法する仏とされ、釈迦の教えが消滅し悟りを得られない「末法」の世に入ったとする歴史観を有した平安末期には、阿弥陀如来の信仰により極楽往生を願う浄土信仰が栄えた。本図中心の全身が金色に光り輝く「悉皆金色」(しっかいこんじき)仏は、悟りをひらいた後の仏の様子を表現し、金泥を塗った上に截金で細かな文様を表現する技法が使われている。さらに阿弥陀如来の背後からは金色の15条の二重光明線が引かれ、三尊ともに円形の金で隈取られた頭光を伴い、その足下には霊芝雲が渦巻いており、三尊が雲に乗り割り蓮華座に立ち、斜め前を向き迎えている姿が描かれている。 軸裏に「恵心僧都筆」とあり、作者を恵心僧都(942-1017)とするが、この伝承は多くの来迎図に付されているもので信用しがたく、作者は詳らかでない。