技法 | 紙本、墨書 付 『大西郷全集』 全三巻 昭和2年 大西郷全集刊行會 |
サイン | 左下に落款「南洲」、白文方印「隆盛之印」 朱文方印「號南洲」、右上に白文関防印「貴天生」 |
額 | 軸装 |
サイズ | 146.5×65.0 cm |
制作年 | 明治6年頃 / Circa 1873 |
鑑定書 | 西郷吉之助識箱、梅園良正鑑題箱 |
【白文】 獨坐幽懐遠市囂 千峰悠色雨聲饒 溪雲埋屋畫濠翳 窓影恰如春月宵
【訓読】 獨坐幽懐市囂に遠ざかる。(どくざゆうかいしごうにとうざかる) 千峰悠色雨聲饒し。(せんぽうしゅうゆうしょくうせいわるし) 溪雲屋を埋めて畫濠翳(けいうんおくをうめてひるもうえい) 窓影恰も春月の宵の如し。(そうえいあたかもしゅんげつのよひのごとし)
【解説】 この詩は明治六年小西郷(従道氏)の目黒の別荘に養生中のものと思われる。詩は實景を叙したまでである。即ち都大路の車馬の響に遠ざかって、一人坐して静かなる思にふければ、千峰悠色を帯びて雨聲が多い。渓間をはふ雨中の雲が屋を埋めて畫なほ暗く(濠翳は樹木がおほひかぶさって暗い貌)窓にうつる光が恰も春のおぼろ月の宵のようであると云うのである。 『大西郷全集 第三巻』 西郷隆盛文書 其三 詩歌 四東都集 p.1093、p.1097より 「明治四年春、隆盛は状況して遂に参議となり同六年秋閥を辞して帰郷に到るまでの間に、東京に於て賦したと思われるもの八首今題して東都集といふ。」